近年の、特にスクーターを中心としたバイクでは、デザインのスマートさや、防犯性を高めるために、シートを開けるための、独立した「鍵穴」が、車体の側面に、存在しないモデルが増えています。これらのバイクは、メインキーシリンダー(エンジンをかけるための鍵穴)を、押し込みながら回したり、あるいは、特定のポジションに合わせたりすることで、ワイヤーが連動し、シートロックが解除される、という仕組みになっています。このタイプは、鍵穴が一つに集約されているため、非常に便利ですが、一度、メットインに鍵を閉じ込めてしまうと、従来のバイクよりも、さらに厄介な事態に陥る可能性があります。なぜなら、解錠のターゲットとなるべき「シートの鍵穴」そのものが、存在しないからです。では、このようなバイクで、鍵を閉じ込めてしまった場合、プロの鍵屋は、一体、どのようにして、メットインを開けるのでしょうか。その方法は、いくつかあります。一つは、やはり、メインキーシリンダーからの「ピッキング」です。鍵屋は、メインキーシリンダーの鍵穴から、鍵の形状を読み取り、その場で、新しい鍵を、削り出してしまいます。そして、その、新しく作った鍵を使って、正規の手順で、シートを開けるのです。これは、鍵の紛失時と、同じ作業を行うことになり、当然ながら、費用も高額になります。もう一つの方法が、より外科手術的なアプローチです。バイクの構造を熟知した鍵屋は、車体の、どこか目立たない部分のパネルを、一時的に取り外したり、あるいは、わずかな隙間から、特殊な工具を差し込んだりして、シートロックに繋がっている、ワイヤーや、ロック機構そのものに、直接アクセスし、強制的に、ロックを解除する、というものです。これには、バイクの車種ごとの、構造に関する、深い知識と、経験が不可欠です。いずれにせよ、シートの鍵穴がないタイプのバイクは、自力での解決は、ほぼ不可能に近い、と考えるべきです。そして、その分、プロに依頼した際の、費用も、高くなる傾向があることを、覚悟しておく必要があります。
シート下に鍵穴がないバイクの閉じ込み