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メットインに鍵を入れた時の絶望と対処法
バイク乗りの誰もが、一度は経験するかもしれない、あるいは、常にその恐怖と隣り合わせにいる、あの悪夢のような瞬間。「メットイン(シート下収納)」に、ヘルメットや荷物をしまい、バタン、とシートを閉じた、まさにその直後。ポケットを探っても、カバンの中を探っても、そこにあるはずのバイクの鍵が、ない。そして、脳裏に浮かぶのは、シートを閉じる直前に、確かにメットインの中に、ポイッと鍵を投げ入れた、自分の姿。血の気が引き、頭が真っ白になる、あの絶望感。この「メキョ(メットインにキー閉じ込めの略)」と呼ばれる、バイク乗り特有のインロックは、一度やってしまうと、自力での解決が、極めて困難なトラブルの一つです。しかし、そんな時こそ、パニックにならず、冷静に、そして順を追って、対処することが、問題を迅速に解決するための、唯一の道筋です。まず、最初に確認すべきは、「スペアキー」の存在とその所在です。もし、あなたが自宅の近くで、このトラブルに見舞われ、家にスペアキーを保管してあるのであれば、それが、最も安価で、確実な解決策です。家族に連絡して持ってきてもらうか、あるいは、公共交通機関を使って、一度、取りに帰りましょう。しかし、出先でのトラブルや、スペアキーを自宅に保管していない場合は、残念ながら、プロの助けを借りるしかありません。その際の主な依頼先は、「JAFなどのロードサービス」か、「鍵の専門業者(鍵屋)」の二択となります。JAFの会員であれば、無料で解錠してくれる可能性があります。そうでなければ、鍵屋に、出張での解錠を依頼することになります。ここで、絶対にやってはいけないのが、マイナスドライバーなどで、シートの鍵穴を、無理やりこじ開けようとすることです。シートロックの機構を、完全に破壊してしまい、解錠費用とは比較にならないほどの、高額な修理費がかかってしまいます。メットインに鍵を入れてしまった、と気づいた瞬間。それは、冷静な判断力が試される、まさにその時なのです。