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シート下に鍵穴がないバイクの閉じ込み
近年の、特にスクーターを中心としたバイクでは、デザインのスマートさや、防犯性を高めるために、シートを開けるための、独立した「鍵穴」が、車体の側面に、存在しないモデルが増えています。これらのバイクは、メインキーシリンダー(エンジンをかけるための鍵穴)を、押し込みながら回したり、あるいは、特定のポジションに合わせたりすることで、ワイヤーが連動し、シートロックが解除される、という仕組みになっています。このタイプは、鍵穴が一つに集約されているため、非常に便利ですが、一度、メットインに鍵を閉じ込めてしまうと、従来のバイクよりも、さらに厄介な事態に陥る可能性があります。なぜなら、解錠のターゲットとなるべき「シートの鍵穴」そのものが、存在しないからです。では、このようなバイクで、鍵を閉じ込めてしまった場合、プロの鍵屋は、一体、どのようにして、メットインを開けるのでしょうか。その方法は、いくつかあります。一つは、やはり、メインキーシリンダーからの「ピッキング」です。鍵屋は、メインキーシリンダーの鍵穴から、鍵の形状を読み取り、その場で、新しい鍵を、削り出してしまいます。そして、その、新しく作った鍵を使って、正規の手順で、シートを開けるのです。これは、鍵の紛失時と、同じ作業を行うことになり、当然ながら、費用も高額になります。もう一つの方法が、より外科手術的なアプローチです。バイクの構造を熟知した鍵屋は、車体の、どこか目立たない部分のパネルを、一時的に取り外したり、あるいは、わずかな隙間から、特殊な工具を差し込んだりして、シートロックに繋がっている、ワイヤーや、ロック機構そのものに、直接アクセスし、強制的に、ロックを解除する、というものです。これには、バイクの車種ごとの、構造に関する、深い知識と、経験が不可欠です。いずれにせよ、シートの鍵穴がないタイプのバイクは、自力での解決は、ほぼ不可能に近い、と考えるべきです。そして、その分、プロに依頼した際の、費用も、高くなる傾向があることを、覚悟しておく必要があります。
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メットイン閉じ込みとJAFの関係
車のトラブルの際に、頼りになる存在として、広く知られている「JAF(日本自動車連盟)」。実は、このJAFのロードサービスが、バイクの「メットインへのキー閉じ込み」という、絶望的な状況においても、心強い味方となってくれる可能性があることを、ご存知でしょうか。JAFの会員であれば、このサービスを、原則として「無料」で、受けることができるのです。JAFというと、四輪車のイメージが非常に強いですが、そのロードサービスは、二輪車(バイク)も、対象としています。そして、そのサービス内容の中には、「キーの閉じ込み」に関する、開錠作業が、明確に含まれているのです。もし、あなたがJAF会員で、メットインに鍵を閉じ込めてしまった場合、まずは、慌てずに、JAFのロードサービス救援コールに、電話をしてみましょう。オペレーターに、現在の状況と、場所を伝えれば、最寄りの拠点から、隊員が、現場まで駆けつけてくれます。現場に到着した隊員は、そのバイクのシートロックの構造を確認し、専用の工具を使って、解錠作業を行ってくれます。この際、会員証を提示すれば、作業料金や、出張料金は、一切かかりません。これは、鍵屋に依頼すれば、一万円以上はかかるであろう費用が、無料になる、という、非常に大きなメリットです。ただし、注意点もいくつかあります。まず、JAFの隊員は、あくまで、ロードサービスのプロであり、鍵の専門家ではありません。そのため、一部の特殊な構造を持つシートロックや、外国製のバイクなど、車種によっては、「このタイプは、対応できません」と、作業を断られてしまう可能性も、ゼロではありません。また、当然ながら、JAFの会員でなければ、この無料サービスは受けられません。非会員が依頼した場合は、一万円前後の、高額な料金がかかってしまいます。もしもの時の、最強の保険として、JAFに加入しておく、あるいは、自分が加入している、自動車保険や、バイク保険に、同様のロードサービスが付帯していないかを、事前に確認しておく。その小さな備えが、いざという時に、あなたの財布を、力強く守ってくれるのです。